中国の歴史教育

中国青年報の付属週刊紙「冰点周刊」が停刊処分になった事件はまだ記憶に新しいだろう(文末に問題となった論文とそれに対する産経新聞の記事を全文掲載している)。先日、偶然中国青年報の公式サイトを見ていたら、なんと例の論文が堂々と載っているではないか。停刊処分の引き金になった論文がなぜいまだに公式サイトにあるのかはわからないが、とりあえず興味深く読ませてもらった。
論文の概略は、いままでの中国の歴史教科書は愛国教育を追求するあまり、間違った歴史まで使っていた、というものだ。たとえば、清朝末期の義和団事件は中国国民が植民地支配者に対する抵抗ではなく、たんなる国際法違反だというのだ。個人的に論文自体は若干納得できないところもあるが、大筋では同意できる内容である。しかし、問題は論文が正しいかどうかということではなく、論文が中央の意志に反したら、それが弾圧されてしまうことにあると思う。この論文は、2002年にも別の雑誌で掲載されたことがあるのだ。それにもかかわらず、今回弾圧されたのは政治的目的があるとしか思えない。
中国の経済はいまロケット並の速度で発展している。今年でイギリスを超えて、世界第五の経済大国になるらしい。しかし、政治は未だに共産党の一党支配で、選挙らしきものは実施されていない。天安門事件以後、民主化が加速する気配はない。当局はいまの中国は歴史上もっとも民主的だと主張している。それは確かに正しいと思う。しかし21世紀の国際社会を見渡すと、これほど奇形な政経システムは他に存在しないことがわかるだろう。ぼくは政治にはあまり関心がないのだが、このままではどこかで行き詰まると感じてしょうがないのだ。歴史教科書も、延々と近代中国がいかに半植民地化され、そして共産党がいかに中国を救ったかに終始している(しかし日中戦争について、日本に格別不利な記述はないと思う)。高校生でマルクス主義や毛沢東をまじめに受け止める人がほとんどいなくなった以上、このような教育を続ける意味がないと思うのだ。
最後に論文の文末を引用しよう。「現代化事業のため、理性がありかつ法を守る現代国民を育むため、これらの間違いを修正するときが来た。」

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