Vice News

アメリカのオンラインメディアに激変が起きている。
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Buzzfeedに代表される新興メディアの台頭がその一つだと思う。これらのメディアの特徴は、エンタメ寄り、キュレーションまたはユーザーが作ったコンテンツ、ソーシャルメディアによる拡散、徹底したデータサイエンス。Buzzfeedはこの数年でアメリカトップ10のデジタルメディアになったし、バリューエーションも850億に達する。Playbuzzというサイトもクイズ形式を利用し、Buzzfeedの半分程度のトラフィックを数ヶ月で達成した。はっきり言ってこのようなメディアの内容は極めて薄い。クリックしたくなるタイトルで客を寄せるが、内容はイマイチな場合が多い。モバイルに注力し、スキマ時間をマネタイズするという観点からはソーシャルゲームにきわめて似ている。
一方でニッチ層を狙ったメディアもじわじわ支持層を増やしている。Vice Mediaがその代表格だ。戦争、ドラッグ、テロや疫病等の社会的問題に切り込んで行くのが特徴だ。若干画面の描写がリアルすぎるという意見もあるが、ジャーナリズムの真骨頂といえるような名作を多く残している。例えば最近のエボラに関するドキュメンタリー。
Outbreak in Liberia: The Fight Against Ebola (Part 1)
エボラが最も深刻なリベリアにジャーナリストを送り込み、命の危険を犯してまで現地の実情を正確に報道する。これはBBC, CNNでもできていないことだ。以前このようなシリアスなコンテンツはお金にならないと思われていたが、Vice Mediaはすでに580億円調達している上に、スポンサーコンテンツの売れ行きが非常に良い(一作品数億円)。
まぁビジネスなので、いい悪いはないが、個人的にはVice Mediaに頑張ってもらいたい。ジャーナリズムとビジネスの新しいカタチの融合だと思う。

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MIT Suicides

時たま学長から意味がよく分からないメールがくる。最初は無視していたのだが、よく届くのでちゃんと読んでみたら、誰々が自殺したという趣旨のメールだった。学生、教員問わず、自殺者がでるとメールを流す仕来りになっているようだ。日本語に人身事故という言葉があるように、オブラートに包んであるので、パッと読んでも良く分からなかったのだ。
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ちょっと調べてみると、最近もう公表しなくなったが、2000年までのデータによるとMITの自殺率は圧倒的に高いらしい。
1964年から2000年だと10万人に対して学部生で21.2名、院生まで入れると15名。ちなみに、ハーバード大が7.4名、コーネル大学が5.7名、ミシガン大が3名弱。
なぜMITの自殺率が高いのか。僕もこっちに来てから学部の理系の授業とかとってみたが、はっきり行って授業についていけないし、周りの学生が皆天才に見えてしまう。いままで無敵だった学生が初めて挫折を経験し、その衝撃で自殺を試みるという仮説もあるが、これはトップ大学であれば、皆どこも同じなはず。
ちなみに日本の自殺率は10万人に対して21.4名。MITの学部生の自殺率よりもわずかに高い。

Start-up in US and China

気のせいかもしれないが、最近世界的にスタートアップが熱い。その中でも特に中国とアメリカが来ている。しかし、同じスタートアップと言っても、理想とされる姿に結構ギャップが有る。
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-ミッションがあるかどうか
アメリカだとほとんどのスタートアップのピッチは解決すべきミッションからスタートする。「世界の貧困を救う」、「ファイナンシングの格差をなくす」とかそういった大義名分系のものだ。それに大体パーソナルなストーリーが紐付いている。最初は本当かなと疑っていたが、ファンダーと話すと結構本気で信じているケースが多い。それに比べて、中国のスタートアップはとにかくビジネスモデルとマーケットオポチュニティを全面に押し出している。金さえ儲かればOKと感じだ。
-トレンドに乗るかどうか
日本でもPeterのZero to Oneが流行っているらしいが、アメリカのVCや一流と言われる起業家曰く、トレンドとか気にせずに、ニッチで今後伸びるかもしれない市場を独占するほうが戦略的に正しいらしい。一方で中国には、トレンドに乗れば豚でも飛ぶ(通称、豚の理論)が存在するくらい、ビッグトレンドを押さえることが大事とされている。VCも今後数年のトレンドを押さえて、そこから外れた分野はほとんど投資しない
-プロダクトに拘るかどうか
アメリカでは、特にシリコンバレーを中心に、異常なまでにプロダクトに拘う文化がある。ファンダーはテクニカルファンダーのほうがいいし、ファンダーの最重要な仕事はプロダクトに細部までに完璧に作りこむこととされている。中国ではプロダクトそのものよりも、チャネル、オペレーション等の実行面に重心を置いたスタートアップが非常に多い。故にファンダーの結構シニアなおっさんが多い
僕の勝手な見解だが、根本的に違うのは
-Winner takes allかそれともいくつかの競合が共存できるか
-アイデアプレミアムがあるか、IPが守られるかどうか
-先行事例のコピーかそれともオリジナルか
これらの要因が起因し、スタートアップのカルチャーを変えているのではないか。
日本は中国とアメリカの中間、どちらかと言うと少し中国よりに位置すると思う。