マッキンゼーの卒業生むけのウェブセミナーに参加。Clay ChristensenとマッキンゼーのグローバルトップであるDominic Bartonの対談だった。
Clay Christensenのイノベーションのジレンマを大学一年生頃に読んだのだが、その衝撃は今でも覚えている。直感に反するにも関わらず、シンプルで本質を突く理論。これが本格的に僕がコンサルティングに興味を持ち始めたんだと思う。勿論現実的にはクライアントにどう腹落ちさせるかのほうがよっぽど重要なのだが。
なので、Christensenは僕にとって結構スペシャルな存在だ。残念ながら、今日の彼の言っていることは、イノベーションのジレンマからあまり進化がない。同じフレームワークを使って、コンサルティング業界やビジネススクールを分析しているが、其処からイノベーションは感じられなかった。
業界・テクノロジーの進化は常に一個人の進化より早い。どんなに時代の先端を行っている人間もそれを忘れてはならない。
Month: April 2014
Bose QuietComfort20i
BoseのBOSE QuietComfort20i
というノイズキャンセリングイヤホンを購入した。今までオーディオテクニカとソニーのノイズキャンセリングイヤホンを使ったことがあるが、音量を勝手に上げているだけなんじゃないかという感じだった。QC20iはそれらを圧倒的に凌駕するパフォーマンスだ。もはや同じノイズキャンセリングだと思えない。
ボストンの地下鉄はアメリカ最古ということもあり相当うるさいのだが、それが殆ど聞こえなくなる。それでいてAwareモードにすると、人の声だけが聞こえるようになってくる。実際体験しないと理解が難しいかもしれないが、新たな知覚が増えたくらいのブレークスルー感がある。個人的には雑音には2つのタイプがあり、ずーと煩いパターン(飛行機)と起伏が激しいパターン(工事現場)がある。一定時間聞いていると慣れるという人もいるが、雑音の絶対値が一定を超えると集中力が途切れた瞬間に意識が邪魔される。その雑音がほぼ消えると、移動中やカフェでも集中できる時間が増え、効率性が格段に上がった感じがする。
BoseはMIT発の企業なので、学生は特別割り引きが効く。ガジェット好きの方にぜひおすすめしたい。
Boston Marathon
明日はボストンマラソン。昨年の事件もあったので、先週から結構な厳重体制だ。特にMITでは警察が銃殺されているので、追悼イベントも多数行われた。
色んな友人からボストンマラソン頑張ってねという連絡が来るのだが、残念ながら僕はボストンマラソンにはでません。正確には出られません。
これが年齢別制限タイムだが、これより少し早いくらいじゃないと応募資格がない。僕のいまのレベルだと退職後に参加することになってしまう。世の中大抵のことは頑張れば何とかなりそうな気もするが、このハードルだとひょっとしたら一生参加出来ないのかもしれない。ランナーとしては非常に悔しい。
来週はTwinlights Half Marathonを走り、夏はサンフランシスコマラソンに出て、秋はニューヨークマラソンに出場する予定だ。来年はMITのボストンマラソン・チャリティチームにでも混ぜてもらえると嬉しんだけどな。
Light and shadow
アメリカに来てから、以前ではメディアしか知ることの出来なかったスタートアップ界の有名人に会う機会が多い。公開セミナーとかだとまだ其処までのギャップを感じないが、少人数もしくはさしで話した場合、メディアが創りだしたイメージとの違いにびっくりするケースが多い。
順風満帆だと思っていた人が、実は結構どん底的な体験を何回もしていたとか。仲良さそうに見えていたファンディングチームは、実は崩壊の危機が差し迫っていたとか。偉そうに威張っている経営者が、実は相当長い間頭を下げまくってここまで努力してきたとか。
考えてみれば当たり前で、仲の良い友人でも自分のすべての包み隠さずに伝えることは少ない。赤の他人である記者に対しては、物語のごく一部しか語っていないし、自分に有利な方向に持って行こうとするはずだ。なので、就職・投資・買収・提携など重大なパートナーシップを結ぶ場合は、レファレンスチェックが不可欠になってくる。
最近読んだ本の中で、Hatching TwitterがTwitterの誕生秘話を赤裸々に書いているので、興味の有る方はぜひ読んでほしい。これがジャーナリストの腕の見せどころなのだろう。
Future of mobile searching
最近ぼんやりと考えていたことを文字に起こしてみたい。
PCインターネットの盟主は誰が何を言ったってGoogleだ。Googleがどうやっていまのステータスにのし上がったかというと、サーチエンジンを押さえたからだ。Page Rankという考え方は別にGoogleしか思いつかなかったわけではないし、少なくとも初期の事前でGoogleのアルゴリズムが最も優れていたとも思わない。かつアルゴリズムが拾っているデータの殆どなだれでもアクセスできた。なので、英語圏でGoogleがサーチエンジンの市場を制覇したのは、AdWordsの発明やその他無料サービスを活用したトラッフィク増幅によるところが大きいと考えている。だからこそ、商慣習と文化が違うアジア圏では、Baidu, Never, Yahoo!に対して苦戦している。
一方でモバイルに関しては明確な勝者がいない。アプリレベルの検索ですら、APP Storeの精度は非常に問題が有る。原因は至って簡単で、Page Rankに相当するアルゴリズムがまだモバイルで開発されていないからだ。ロジカルに考えるとモバイルのほうが、アルゴリズムのインプットが多く、より精度の高い検索が開発しやすい。そもそも日常生活の中で、何か物を探す、新しい物に出会うプロセスの殆どは、友人等を通じたソーシャルなインプットだ。モバイルは元々パーソナルなデバイスなので、PCよりも遥かにソーシャルに強いし、色んなパーソナライズされたデータが取れる。ソーシャルデータ、APP Storeのサーチ履歴、あとはアプリ内の行動パターンを組み合わせれば、ひょっとしたらPage Rankを超えるアルゴリズムができるのかもしれない。
PCと違うのはこれらのデータはどこにも公開されていないということだ。アプリ内の行動パターンはFlurryがほぼ独占しているし、ソーシャルなIMやFacebookが圧倒的に強い。APPのサーチ履歴はAPPLEとGoogleが持っている。これはアルゴリズムも戦いというよりも、ビジネスの組み方の良し悪しを競っている気がする。勿論AdWordsに匹敵するような広告モデルもまだ発明されていない。
アプリレベルの検索の次は、勿論アプリの中の情報を含めた検索だ。これはもっと閉じれた世界で、それぞれのアプリ開発者が独自のデータセットを持っている。Deep Linkでアプリ間を繋げるみたいな話もあるが、それはPCの考え方に引きずられすぎていると思う。データの殆どはどこかしらのクラウドサーバにアップロードされているので、僕はアマゾン(AWS)のほうがもっと有望な気がする。
モバイル時代の検索(レコメンデーション)は何なのかという問いに対して僕は答えを持っていないわけだが、これが解けた人はGoogleにチャレンジするチケットを手にするだろう。