U2 and US

U2(ユーツー)はアイルランド出身のロックバンドである。メンバーはボノ(ボーカル・ギター)、ジ・エッジ(ギター・キーボード・ボーカル)、アダム・クレイトン(ベース)、ラリー・マレン・ジュニア(ドラムス)からなる。1980年のデビュー以降、政治的な信条と渇愛を力強く歌い上げる作風で世界的に数多くのファンを持つグループである。アルバムの総売り上げは1億7千万枚を超える。グラミー賞獲得数22はロックバンドとしては最多である。―Wikipedia
日本福音同盟初代理事長の泉田昭は、「福音主義とか福音派というとき、信仰的自由主義に対して福音主義、エキュメニカルなグループに対して福音派という意味で使っている。つまり、聖書は誤りない神のことばであると信じ、基本的教理を保持し、伝道と教会形成に励んでいる者たちのことである」としている―Wikipedia
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U2は僕が最も好きなバンドである。彼らは、スピリチュアルなものと物質的なもの、死すべき存在と神的なものとをつなぐ、危険だけれど心躍る領域に身を置いている。社会の断層を一つ一つ埋め、現代社会の矛盾を暴きだす。それは確実に彼らの仕事の一部となっている。
そんな彼らを理解するためには、U2を生み出した70年代から80年代の北アイルランドという独特な政治的・宗教的雰囲気を持った土地について知る必要がある。アイルランドは、神と国家の名で分断された国であり、そこで育ったU2のメンバーは彼らの宗教観、世界観を育んだ。
イエスの時代、パリサイ派は、聖なる行いとそれを穢す行いとを厳密に区別していた。北アイルランドにも「白か黒」かの二元論が蔓延っており、U2に対し、立場を明確にするように求めた。しかしながら、その中で、U2は聖なるものと俗なるものとを分ける峰の淵を歩いてきた。それは、彼らのうち3人がアイルランドでは珍しいプロテスタント出身で、もう一人は無神論者だったからであろう。結果的には、彼らは宗教的なアルバムでロック界に殴りこむという、普通では想定できないデビューを飾ることになった。
またU2は、イギリスブレイク前にアメリカ進出を果たしたバンドだ。もちろんロックンローラーにとって、アメリカは興味をかきたてられる伝説の土地であることは間違いない。だが、それ以外に、アメリカにはアイルランド以上に多くのアイルランド人が住んでいる。ボノが「ニューヨーク」の中で歌っているように、「The Irish have been coming here for years/ Think they own the place」。
アメリカで、U2は自分たちの考えを深めていくことになる。シカゴ平和博物館で、彼らはキング牧師に共感を覚えた。歌の中でずっと平和主義を主張してきた彼らにとって、キング牧師の非暴力主義は彼らのメッセージと重なっていた。世間や見せかけだけの「クリスチャン」たちに触れるほど、U2のメンバーはますます精神的な物を求めるようなり、そのたびに価値観が揺らいだ。その中で、キング牧師が彼らのロールモデルとなり、リスペクトできる存在であった。
U2が感じていたこの戸惑いは、当時のアメリカでは特別なものではないだろう。アメリカは世界の覇権国としてベトナム戦争やグレナダ侵攻など世界各地の紛争に積極的に介入するが、泥沼に足を突っ込むことになる。貿易赤字は増え続け、経済もいまいちふるわない。精神的に未熟な若者にとって、戸惑うのも理解できる。ここで、多くの若者がしがみついたのが、キリスト福音派である。
福音派の特徴として、テレビや大型集会を用いた、マス宣教があげられる。そしてキリストを信じ続ければ、すべての問題は解決されると教えられる。より多くの人々は、キリスト教に導かれるが、深い信仰とはならないケースが多い。「イエスと共にある」ということはゴールではなく、共に生き続けていくことなのだ、とU2は言う。これはそれ以来、U2の大きなテーマとなる。「ホークムーン269」の「Like faith needs a doubt」「ザ・プレイボーイ・マンション」の「And though I can’t say why, I know I’ve got to believe」などで歌われているように。そしてU2は、福音派とは対照的に行動(Live Aid, 反アパルトヘイト運動)の中でキリスト精神を表わそうと努力した。
福音派は、ポストモダニズムの到来を嫌がり、大衆に対して統一したメッセージを送っていた。しかし、U2は真の問いを抱えながら生きる強さを強調する。政治も宗教もニュースも運動も教育も商取引も、マス向けのショービジネスとなってしまったアメリカで、U2は「Zoo TV」とうツアーで「テレビ社会の非現実」という現実を暴露した。ボノ自身は3つのペルソナを使い、テレビの真実がいかに脆いものなのかを示して見せた。そして「mofo」のなかで、「クズに埋もれている赤ん坊のイエスを探して」という歌詞で、テレビ社会では、本当に大切なものは埋まっていることをアピールした。「I shop, therefore I am」的な消費社会ももちろん彼らの注目の対象である。ポップマートツアーは実際、Kマートからはじめられた。現代社会の病巣を明らかにするために、公演の場所を都会のショッピングモールにしたのだ。
福音派伝道師について最も鋭く描いた映画はシンクレア・ルイス原作の「エルマー・ガントリー」だが、予告編はこんなコメントから始まる
「私、エルマー・ガントリーは典型的なアメリカ人です。
 興味があることは、金、セックス、そして宗教です」
これに対し、ボノは何と答えるだろうか。ハーバード大学の卒業式スピーチでこう言っている、「俺たちは理想を追わなくてはならない。
そうでなければ、そもそも自分とは誰なのかという、
心の奥底にある何かを裏切ることになる。」
ダブリンから世界へ、過去から未来へ。U2は理想を追い、世界を動かし続ける。

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