The discourse of Nintendo

第13回 蔵前ベンチャー相談室セミナー
蔵前工業会・東工大共催
「ゲーム業界におけるイノベーションのジレンマからの脱却」
講演者
任天堂株式会社代表取締役社長 岩田 聡氏
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講演された内容は、ほとんど自分の知っていることばかりだった。クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」を皮切りに、技術進歩について行くだけではゲーム業界では生き残れないことを、耳にたこができるぐらい説いていた。あとは、DSとWilの開発逸話などにも触れていた。
個人的に、これは19世紀の芸術界に現像写真が登場したときと似ていると思う
。いままでいかに忠実に世界を絵に反映するかに腐心していた人たちは存在意義を失ってしまった。その代わり、印象派はさらに発展し、自己主張のつよい現代芸術へと移る。もちろん写真自体も立派な芸術となった。つまり現像写真(イノベーション)は、画家の選択の幅を広げたのである。
ゲームも全く同じで、いままではゲームの内容を表現するにはスペックがネックだった。だが、いくつかのジャンル(テニスとか簡単なゲーム)ではゲームの内容はスペックに縛られないようになってきた。そこでハイスペックを追求しさらにゲームの幅を広げるか、それともいま現在のスペックでクリエイティブな内容にするか、という二つの選択肢が現れたのである。それがまさにWilとPS3なのだ。
メディアはWilの一人勝ちみたいなことを盛んに言っている。僕から言わせると、PS3はハイスペックがいけないのではなく、ハイスペックならではの新しい遊び方を提示できていないだけである。逆に、Wilのような路線はゲーム業界の参入障壁を下げる結果となり、アイデアさえあればだれでも簡単にゲームが作れるようになるだろう。それはまさにWeb2.0であり、そのときに任天堂がどういう収益モデルで戦っていくのか非常に気になる。もっとも、岩田さんは現時点でのユーザーによるゲーム作成の可能性はないといっていたが。
また、ハイスペックにも高額な開発費という問題がある。高額になるにつれ、それセグメントにいるユーザーだけでは賄えないときが絶対に来る。しかも、いまそのセグメントはどんどん細分化されているのだ。唯一の解決策は、いままでの「ゲームがイノベーションを牽引する」ではなく、「イノベーションがゲームを引っ張っていく」モデルへの移行だ。その時代の平均的な技術を使う、つまり他業界の恩恵を受けるしかないと思う。そういう観点から見ると、PS3はちょっと飛ばしすぎだと思う。

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